「お父さんみたいな人」。2018年8月から角海老宝石ジムの一員となったベテラン指導者は、ジムの選手やトレーナーたちから、こう慕われている。選手を思うからこそ、指導は厳しく、どこまでも熱い。半面、笑顔は柔和で、包み込むような温かさがある。
以前、ともに戦ったことがある選手の話。勝ったときは選手以上に喜び、負けたときは選手以上に悔しがり、悲しむ。いつも「ボクサーはリングが舞台。魅せる場所」と繰り返す洪東植トレーナーは、こんなふうに教え子たちを試合に送り出すのだという。
「やってきたことを出せば、大丈夫。それで負けたら、俺の責任だから何も気にしなくていい。リングで全部出して」